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ボーッとしている桜子は、野木山に声を掛けられ、ハッと我に帰る。
野木山は言うのだった。
「ここは自分が何とかしますから、若女将はお帰り下さい。今帰らないと大将に会えないですよ。」

心配そうな野木山に、桜子は言うのだった。
「もし達彦さんだったら絶対に途中で仕事を投げ出したりしないでしょう?私は達彦さんの代わりで此処に居るのです。」
そう語った時、大村少佐が入ってきた。遅くなったことを詫びる少佐。
山長の代表としての打合せが始まった。

その頃、岡崎では達彦がかねの作った鹿の子寄せを食べていた。
「うん、美味しかったよ。」

その言葉にかねの表情がほころんだ。
「おタミのようにはいかんけど、母さんの手料理も捨てたもんじゃないでしょう?」
達彦はかねをみて頷いた。
そしてきちんと正座をし、かねに言うのだった。

「もうそろそろ行かんと。」
かねが心配そうな表情に変わる。まだ桜子が戻っていないのだ。
「桜子さんは?あの人が帰るのを待たなくてもいいの?」
だが達彦は言うのだった。

「もう時間がない。連隊に戻らんと。」
そして立ち上がり、部屋を出た達彦にかねが言うのだった。

「お母さんを、恨んではおらんか。」というかねに、達彦は振り向いた。
かねは続けた。
「お母さんが東京に行って、あの人が此処に残ればよかったかもしれんね。」
達彦に、桜子を会わせてあげられなかった事が心の隅に引っ掛かっているのだ。
そんなかねに達彦は言うのだった。

「そんな事ないよ。」微笑む達彦。

「これが最後じゃないんだから。」という達彦に、かねは涙が溢れて止まらなかった。
かねは、達彦の胸に顔をうずめて嗚咽した。

達彦は、自分に言い聞かせていたのだ。
これが今生の別れではない、俺は必ず生きて帰ると。

夕刻、山長の店先では、ふみが落ち着かない様子で外を伺っていた。
黙ったまま、険しい顔で一点を見つめる仙吉。
帳場に座ったものの、心配そうな表情のかね。

誰もが桜子達の帰りを待っていた。

その時だった。
店先のふみが、桜子達に気付いた。「帰ってきました!」
店に駆け込む桜子と野木山。
桜子は息を切らし、かねに言った。
「達彦さんは?」

かねは言った。
「岡崎の駅!行き違ったんだね。早う行き!今なら間に合う!」
その言葉に、気持ちは脱兎の如く駆け出す桜子。だが、着物なので上手く走れない。
かねは飛び出した桜子の後姿を、祈るような思いで見ていた。

岡崎駅に着いた桜子。泊まっている列車の窓から中を伺う。
息を切らし、達彦を追い求め、必死になってその姿を探す桜子。
その時だった。

(つづく)

テーマ:純情きらり - ジャンル:テレビ・ラジオ



















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