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かねと桜子の目に飛び込んだ光景。
新聞広告を見て、最後の八丁味噌を手に入れようと並んだ人々の列だった。
「2時間かかって歩いてきたんよ。少しだけでも分けて欲しい。」と言った老婆もいる。
並んだ客に感謝の気持ちを込め、かねは挨拶をした。
統制価格が決められ、今まで通りの八丁味噌が作れなくなった事を詫びる。
そして必ず、山長は復活する事を当主に代わり約束する、とかねは言うのだった。

味噌を買い求める行列が続く中、キヨシは桜子にある願いを託していた。
桜子は仙吉を味噌蔵へ呼び出す。仙吉が行くと、そこに有ったのは一袋の大豆だった。

「冬になったら、この大豆で味噌を仕込んでもらえませんか。」

最後の一桶だけ、本物の八丁味噌を仕込む。
それを戦争が終わるまで大事に寝かせて置く。その桶の管理を仙吉に頼みたい。
それはキヨシの案だった。

仙吉は胸がいっぱいで、言葉が出なかった。
頷く仙吉。
「若女将には負けました。」

キヨシの方を見ると、一心不乱に脱脂大豆で味噌を仕込んでいる。
仙吉はキヨシに声を掛けた。
「明日入営なら、親戚周りとか、色々有るだろう。家族の傍に居ろ。」

だがキヨシは言うのだった。
「俺にとっては、店の衆が家族で、アンタは親父だ。」

キヨシには、山長で過ごす時間が何よりもかけがえの無いものだったのだ。

仙吉は、キヨシの仕込んでいる味噌にアドバイスをするのだった。
「脱脂大豆は水分が少ない。もう少し足さんと。」
塩水の味を見て、さらに塩を入れる仙吉。
「お前の持ってきた大豆の行く末を見守らなければな。」
それは仙吉の、辞職撤回宣言だった。それを聞いたキヨシは笑顔で頭を下げた。

「店に戻ってくれるんですか。」

そしてキヨシは続けた。
「俺、御国の為に役立って参ります。」そう言ったキヨシに仙吉は言うのだった。

「お前みたいなおっちょこちょいが、御国の為に役立つものか。お前の役立つ場所は此処だ。生きて必ず戻ってこい。」
仙吉の暖かい激励に、キヨシは泣きながら、ハイと返事をするのだった。

桜子に郵便が届いた。達彦からの手紙だ。
訓練の様子が記された手紙に、味噌の事が書かれていた。
「水分が少ないから、炎天下で持ち歩いても腐りにくい・・・」
桜子はあるアイデアを思いついたのだ。

「ウチの味噌を、海軍へ売り込む?」
軍の物資は、業者が決まっているだろうというかねに、桜子は営業に行くという。
山口議員のツテを頼りに、海軍省への交渉に漕ぎ着ける二人。
だが長時間待たされた挙句、軍の物資を扱う業者は決まっている、と取り付くしまもないのだった。
一旦は追い出されたが、桜子は試食用に持参した味噌を机上に置き、大演説を始めるのだった。
びっくりするかね。

「他の味噌と、八丁味噌では日持ちが違う。兵隊さんが腐った食べ物を食べて、お腹を壊したらどーするんですかッ?其処の所、よおぅ~っくお考え下さいっ!」

我に返ったかねが、慌てて桜子を連れ出す。
「御無礼致しましたぁ~っ。」

かねは桜子に、ウチの味噌が目の敵にされたらどうするんだ、と文句を言うが、桜子は平然としてかねに返した。
「軍の敵はウチの味噌じゃなくって、他国の軍隊ですよ。」
スッキリした、と言ってスタスタと帰る桜子に、かねは開いた口が塞がらなかった。

岡崎に戻ったかねと桜子。
留守中の様子を聞くかねに、野木山が「大将からです。」と達彦からの手紙を渡した。
嬉々として読むかね。桜子も内容が気になる。

ふと、かねの周りの空気が静かになった。
周囲もかねの異変に気付く。

「どうしたのですか?」という桜子に、黙って手紙を置くかね。
文面に記されていたのは、外地への出征が決まった事を知らせるものだった。

覚悟はしていたつもりだった。
でも本当は、少しも覚悟なんて出来ていなかった。
桜子は、城の松林でひとり、佇むのだった。



「アタシにはピアノしか才能が無い。」と言ってた桜子。
でも先週は、料理人やってたし、今週は有能な営業ウーマンやってるよ(笑)。
ピアノ以外でも食っていけそうなくらい、才能の下地はありそうなんだが。

明日は達彦との別れのシーン。切ないけど楽しみです。

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