上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

【ちりとてちん「大草若の小さな家」#144】

喜代美は工房で、正太郎が遺した「愛宕山」のテープを聴く。聴きながら笑みがこぼれる喜代美の様子を、ガラス越しに覗いていた清海が入ってきた。
工房で落語を聴く喜代美を不思議に思った清海が訊く。

何故此処で?

清海にとっては不思議でも、喜代美にとっては此処が落語との出会いの場所だった。
大好きな正太郎と一緒に過ごした、幸せな時間・・・喜代美が懐かしそうに昔を振り返る。
清海は今、自分の作りかけの箸を手に取り、喜代美に見せた。
「これ、私が作ってるお箸。」喜代美は箸に見入る。
漆の下には、これで模様を付けている。
清海はそう言いながら、小瓶を差し出す。その瓶を手に取り、明るい方向に透かして見る喜代美。
瓶の中には、細かく砕かれた石がキラキラと輝く。
中身を訊ねる喜代美に、清海が答えた。
「あの石。綺麗な模様になって出てくる様に、一生懸命やってみようと思うとる。」

ビーコに負けない様に、頑張ろうと思っている。
「私に?」不思議そうな喜代美。
清海が続ける。ビーコには、もう綺麗な模様が見えている。子供の頃、此処に通って、落語を聴いて笑っていた事が、ビーコの模様になっている。
「ほやさけ、今は落語やっとんやな。」
清海の言葉は素直な思いが溢れている。友の綺麗な模様を励みに、自分も綺麗な模様が見えるようになりたい、そういう気持ちで溢れている。
喜代美は正太郎の写真を見た。
ふいに祖父の、あの言葉が脳裏に響く。

「喜代美・・・これから、仰山笑え。」

喜代美は何かを思いついたのだろうか。「ありがとう、エーコ!」と、清海の手を握り礼を言う。一方、礼を言われた清海の方は、さっぱり訳がわからないまま。
突拍子もない思いつき方をするのは、糸子の血を引いてるから仕方ないか(笑)

大阪に戻った喜代美は、兄弟子達の前で改めて常打ち小屋への想いを語る。何故、気が変わったのか・・・それは喜代美が、落語と出会った頃の気持ちを思い出したからだった。
学校から帰ってすぐ、工房で落語を聴いていた。嫌な事があっても、落ち込んでも、落語を聴いていたらいつの間にか笑っていた喜代美。
落語家の仕事は人を笑わせる事、悩んだり落ち込んだりしている人を、自分も元気付けたい。
そういう場所を、大阪に作りたい・・・そう思えた。

草若の「愛宕山」が流れる。喜代美のテープだ。
反対していた草原や小草若、四草も、喜代美の言葉に納得してるのだろうか。黙って聞き入る兄弟子達。
草々と喜代美、草原の方を共に向いた。
改めて、自分の落語への思いを話す喜代美。
天狗芸能だって、皆に笑いを届ける仕事をしてる会社、ちゃんと説明すれば判ってくれる筈。
これは落語家が仕事を得る為の小屋じゃなく、毎日毎日、多くの人達に仰山笑ってもらう為のもの。
仰山の人を笑わす事が出来て、初めて自分も仰山笑えるのだと思う。
喜代美の素直な思いは、反対していた兄弟子達の心も動かした。

天狗芸能に正装して揃った徒然亭一門。草原が皆を代表して、鞍馬の前で改めて常打ち小屋の目的を鞍馬の前で述べる。
多くの客を笑わせ、元気付ける事。それが出来る、若い落語家を育成する事。
天狗座の客を奪ったり、天狗芸能を脅かす為の小屋ではない。
果たして話を聞いているのだろうか、鞍馬は手土産に持参した羊羹をぱくついている。

「どうかご理解いただけます様、お願い申し上げます。」草原の言葉と共に、それぞれ「お願いします。」とお辞儀をする一同。
だが鞍馬は言う。
出来ると思ってるのか?
お前等が5、6人寄った位で、草若が死ぬまで作れなかった常打ち小屋が。

決意の深さを試すような鞍馬の言葉に圧倒され、何か言おうとしつつも、誰も言葉に出来ない。
ようやく草々が口を開く。
「師匠が叶えられへんかった夢やからこそ、私等が叶えたいんです。否、叶えなアカンのです。」
草々の言葉に突然笑い出す鞍馬。
「おもろいなぁ。出来るもんやったら、やってみぃ。」
言い残すと、鞍馬は部屋を出て行った。

和田家の工房で、正典に付いて修行中の清海。正典の手元を見ながら、丹念に漆を塗る。工房に小次郎が飛び込んできた。慌てた様子の小次郎に、何の用事なのか問う正典。
小次郎は言う。
奈津子が喜代美と電話で話しているのを聞いた。喜代美達が、何か大きな事を始めるらしい。
それは、常打ち小屋を建てるという話だった。
傍にいる清海も、その話を聞いていた。

草若邸の居間で、それぞれが貯金を差し出している。通帳、貯金箱がテーブルの上に、雑多に広げられている。
「かき集めてもこれだけかぁ。」草原が溜息を付く。
四草の通帳を見る小草若は、その残高に感心しているのだろうか。
小草若は芸人時代、収入も有っただろうけど、出費も相当多かったんだろうなぁ。マンションとか車とか呑み代とか。
四草が言う。「あまり使う事もなかった。女が勝手に貢いでくるし。」
そもそも呑まないし、賭けや算段で人に奢らせるし(笑)そりゃ金も溜まるだろう。

喜代美が草原の通帳を見ながら言う。こんなに出しても大丈夫なのか?
草々も心配する。家族を養っていかなければならない草原、子供の為の学費も掛かるのに大丈夫なのか・・・。
でも草原は言う。緑にまた、苦労を掛けるなぁと思い、話をした。

「そしたらアイツが、この通帳スーッと出して。"いつか、こんなことがあるんやないか思うてヘソクリ貯めてたんよ、まーくん。私、まーくんの笑う顔が見たいて。」草原の目に涙が滲む。
堪えきれずに泣く草原。「緑~緑~」と大泣きする草原に、小草若がすかさず「またそれですかぁ。」とツッコミを入れた。
そこにお茶を運んできた勇助が「あの・・・師匠。」と草々に声を掛けた。
「何や」と聞き返す草々に、ポケットから通帳を取り出し、自分の貯金も使って下さいと言う勇助。
「阿呆、年季明け迄弟子食わすのが、師匠の義務や。オマエに金出させてどないすんや、アホ。」
ぶっきらぼうな言葉で勇助を叱り飛ばす草々。
喜代美がフォローした。
しっかり稽古して、いつかこの常打ち小屋で仰山のお客さんを笑わせる事が勇助の仕事なのだと諭す。
余計な事に気を回すな、と草原にも言われ、通帳を仕舞う勇助。
「ありがとう、気持ちだけ貰っておく。」喜代美は礼を言う。
勇助は一言「嘘で言うただけやのに。」と言い残し、その場を離れた。
同時に「おいっ!」とツッコむ兄弟子達。
「何ちゅう奴っちゃ」と小草若。でも四草は判っていたのだろう。勇助は嘘と言いつつ、結構本気だったのではなかろうか。だが小草若は半信半疑だった。

しかし、5人の貯金をかき集めても、頭金にも及ばない。
2~3年掛かるかもしれない、そう言う四草に、「やっぱり無謀だったか・・・」と溜息をつく草原。
その時、小次郎が喜代美を呼ぶ声がする。
庭先に出る喜代美、驚いた様子で小次郎に言う。てっきり未だ小浜に居るものばかりだと思っていた。
だが小次郎と奈津子は、喜代美に渡したいものがあるので、急遽大阪に戻ってきたのだと言う。
その様子に、他の弟子達も何事かと集まってきた。

喜代美に封筒を差し出す小次郎。何なのか一瞬判らない喜代美に、小次郎が言う。
「200万や。」
封筒から中身を出すと、帯が付いたままの札束が二つ入っている。驚く喜代美達に小次郎が言う。
五木ひろしから返された200万、常打ち小屋の為に使って欲しい。
そう言う小次郎の横に、笑顔で頷く奈津子。
しかし喜代美は戸惑いの色を隠せない。結婚資金に使う予定のものを、貰う訳には・・・。
そんな喜代美に奈津子が言った。
「今更、結婚式挙げる訳じゃないし。」だから必要が無いのよ、という笑みを湛えて奈津子が言う。
「エエ加減、おっちゃんを男にしてよ。」と、潔く小次郎が言う。
その思いに、頭を下げる兄弟子達。
更に、預かってきていると言いながら、次々に封筒を出す小次郎。
魚屋食堂、秀臣と静、清海。
えっ、清海の寸志、結構入ってるんじゃないのコレ??
竹谷の封筒もかなり厚い。さすが、小浜観光協会事務局長。
小梅からは着物、現金に換える様にとの伝言だ。
喜代美の手に、皆の思いがずっしりと伝わる。

正平からは「何も出来ないけど・・・」と言いつつも、子供の頃に作った箸の恐竜が届いていた。
草々の目が嬉しそうに、恐竜を見つめる。
正典からは、イカ串容器に入った百円玉貯金。それはかつて、喜代美と草々が結婚したばかりの頃に、お互いが口癖を直す為にやっていた罰金貯金箱。
草々が正典の処に持っていった貯金箱、正典は大事に預かっていたのだ。

「若狭ちゃ~ん」
喜代美を呼ぶ声がする。菊江だ。
菊江は熊五郎から話を聞いたと言い、自分の小銭入れから有り金全部を出して、イカ串の貯金箱に入れた。
「こんだけしか有らへんけど、取っといて。」
小草若が笑う。「それじゃ足しにならんやろ、ホンマに。」
そんな小草若に詰め寄る菊江を他所に、熊五郎と咲が、喜代美にギターを渡す。
中古屋に行けば、20万位にはなる。ギターの事はワカランが、レア物か?
アコギを渡す熊五郎の横で、咲が笑顔で喜代美を見る。
家族の思い、徒然亭を取り巻く人達の温かな思いが、喜代美の気持ちをいっぱいにした。

「忘れてた、姉ちゃんからや。」
そう言って小次郎は、大漁旗を取り出した。
「頑張れ~言うて。」と旗を振る小次郎に、喜代美は堪えきれず涙を流す。
皆が「頑張れ~」と、自分達を応援してくれている。
多くの人の温かさに触れ、感謝の念で気持ちがいっぱいになる喜代美だった。
FC2ブログランキング にほんブログ村 テレビブログ テレビドラマへ
ランキング参加中です。よろしければクリックして頂けるとウレシイです。

テーマ:ちりとてちん - ジャンル:テレビ・ラジオ



















管理者にだけ表示を許可する


| HOME |


Design by mi104c.
Copyright © 2017 ドラマの向こうに。, All rights reserved.

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。