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【ちりとてちん「蛇の道はヘビー」#138】

「あのアホのこと思うてんのやったら、行くな言うてんねん!」
そう言い、草々を突き飛ばした四草。いつになく激しい表情で、でも何処か、何かに怯えた様な表情でいる四草に、草々も草原も勇助も、只事ではない空気を感じ取っていた。
小浜に居る喜代美はその頃、ようやく起きて居間にやってきた。糸子に「もうお昼やでぇ」と言われる喜代美だけど、小草若との事が有ってか、なかなか寝られなかったと言う喜代美。
ふと目線をやると、自分の目の前に小草若が居る。びっくりする喜代美。
「こっ、小草若兄さん!」と言う喜代美に、ちょっと気まずそうに挨拶する小草若。豆腐を買いに行った糸子が商店街で見かけ、小浜を出ようとしていた小草若を、半ば強引にだろう、家まで引っ張ってきたのだ。
「しゃあないわな、若狭のお母ちゃんにかかったら。」と力なく苦笑いする小草若。
そして糸子は、魚屋食堂に行ってくると席を外す。
お母ちゃん、空気読みすぎです・・・。

草若邸では四草が小草若への想いを吐き出していた。四草は小草若の育った環境が羨ましかったのだ。
父母に愛され育った小草若。恵まれた環境に居たにも関わらず、草々へのコンプレックスを増大させていた小草若。
ろくに稽古はしない、落語は下手、アタマも悪い。何でこんな奴が兄弟子なんや。夕陽に溶けて無くなってしまえばいいって、ずっと思っていた四草。
両親が居る事が、愛される事が当たり前と思って育った小草若。父の顔を知らず、母に愛されず育った四草にはそんな小草若が腹立たしく、そして羨ましい。
四草は見守るだけではなかったのか。小草若に嫉妬していたんだな。自分よりもずっと、頭の回転も落語も劣る兄弟子ときたら、環境は恵まれているのに、何も努力をしている様に見えない。
そんな兄弟子が居なくなった。いなくなって自分の中ではせいせいした筈なのに、皆は探そうとしたり、見つけ出したら草若襲名させようとしたりする。

放っておけばいいのに。

四草が自分の本当の気持ちを話す。見劣りする兄弟子が、周囲の期待、父の残した功績に押しつぶされそうになる姿を、一緒に暮らす間ずっと見ていた。
どんなに出来の悪い兄さんでも、四草の中に人としての情が湧いていた。今迄、四草自身も小草若に色々と言ってきた。
草々や周囲だけでなく、自分も小草若を追い詰めていた・・・悔いる気持ちが有るから、身体を張って草々を止めようとしたのかもしれない。
「もう、放っといたって下さい・・・。」四草が絞り出すような声で言う。黙って聞いていた草々の表情が、四草に詫びていた。
「自分が襲名したいからと違うかったんやなぁ・・・すまん。」

深い経緯を知らない勇助が口を開く。それやったら草々師匠が襲名したって構わないのでは?と言いかける勇助の言葉を四草が遮る。
「死んでまうわ!この上、草々兄さんに草若の名前迄取られてしもたら・・・小草若兄さん、ホンマに死んでまう・・・。」
縁側で膝を抱え、微かに震えながら突っ伏す四草。草原も草々も、四草の本当の気持ちに触れ、ただ黙っていた・・・。

和田家の縁側に居る小草若と喜代美。草若襲名問題も「草々が継いだらいい」と、他人事の様に言う小草若。喜代美にはそれが信じられず、小草若に聞き返す。
本音は草々に継いで欲しくない、それが本音なのでは?いつだったか話してくれた、自分はイライシャ・グレイの気持ちだったという思いなら、草々にだけは継いでもらいたくない筈・・・喜代美は言った。
小草若が答えた。
今でも俺はイライシャ・グレイ、特許出願がベルより二時間遅れたが故に、名前を残せなかった間の悪い男。いくら追いかけても、永遠にこの二時間の差が縮まる事は無い。

そんな事無い、と否定する喜代美。だが小草若の「自分のダンナが草若になった方が嬉しいやろ」と言う言葉を、即座に否定出来ない。
喜代美は嘘は言えない。それが本音なのだから。だから中途半端な優しさは、何の慰めにもならない。小草若はそれを知っている。
「帰ってやってもええで。」と言う小草若に喜代美は驚く。
「ほんまに?」
「その代り、草々と別れてくれ。」
小草若の真剣な表情、喜代美は言葉に詰まる。やはり嘘はつけない喜代美。
「いや、その・・・あの、えーっと・・・。」次の言葉を必死に探す喜代美に、小草若がフッと笑う。
「嘘や、嘘や~ん。いけずで言うだたけや。」
嘘だと言うのが嘘、本気で別れてくれって言った小草若。だけど笑ってごまかす。
喜代美の気持ちが草々にしか無いのを知っている。知っていて尚、ほんの僅かの可能性を試してみたのだろうか。
もし此処で、喜代美が「はい」と言ったなら、もしかすると小草若の中にある2時間は縮まったかもしれない。でもそれは絶対に無い・・・。
「ごめんな、喜代美ちゃん。」
そういい残し、出て行く小草若。結婚後ずっと「若狭」と呼び続け、兄弟子として接していた小草若が、ほんの一瞬だけ、喜代美の事が大好きな一人の男に戻った。

工房に入る小草若。其処には、箸に向かって集中する正典が居る。小草若が入ってきた事にも気付かず、一心に箸を磨ぐ正典。
以前、此処で正太郎の塗箸を見せてもらった。それを見ながら正典が話してくれた事を思い出す小草若。
正太郎はもう箸を作っていない。でも追いかけたら追いかける程、父の背中が小さく、遠くなる気がする。
それでも、追いかけずにはいられない。

正典の言葉に、自分の人生を重ねていたのだろうか。ずっと追いかけていた。草々との差を追いかけていた。
追いかけても、追いかけても届かない。落語も、女も・・・そして父の名前すらも取られつつある自分・・・。
箸を見て、微笑む正典を後に、立ち去る小草若。

夜、寝床では草原、草々、四草が呑んでいる。突き出しに箸を突っ込みつつ、肩をすぼめて四草に視線を合わせようとしながら話す草々。
ああ、なんかオサーン臭い(ごめんね)。飲み屋でよく見る、こんな仕草で部下に話してる上司の図、みたいやん(重ね重ねごめんね)。
草々は言う。自分はずっと、小草若が草若の名を継ぐものと思っていた。小草若も望んでいると思っていた。だから、ガンバレと何度も言い続けた。
「もしかしたら、追い込んでいたのかも判らへん・・・。」草々が呟く。
いや、全く・・・その通り。頑張れが苦痛になる時もある。これ以上何をどう頑張ればいいのか、判らなくなっていた小草若。
追い込んだのは草々だけじゃないから、そんなに自分を責めるなよ草々。
「かも判らへんやなくて、そうなんですよ。」
四草が草々のグラスにビールを注ぐ。四草も、小草若を追い込んでいた自覚があるからだ。
注がれたビールを呑む草々。
草原が口を開く。
「よっしゃ、今夜は特別に俺の秘密を聞かしたろ。」
唐突な草原の言葉に、何ですか?と言う草々。四草はいつもの様に、鋭く突っ込む。
「あんまり興味無いんですけど…。」
「ええから聞け!」と、半ば強引に話を持っていく草原。いつになく強い口調の草原に、仕方無さそうに聞く体勢に入る二人。

草原は本当は、草若襲名の話が来た時、筆頭弟子である自分に来る事を確信していた。実際話は来た。でも断った。
噛んでしまうと言ったのは表向きの理由、本当は、自分の華の無さを言われるのが怖かった・・・。
草原のコンプレックスが、草原自身の口からはっきりと示される。草々や四草の華やかさが自分に無い事は、痛いほどに感じていた草原。
誰にでもコンプレックスはある・・・兄さんはそれ言いたかったのかなぁ。小草若や四草だけじゃない。自分にもそういう処がある。
いざ、草々に継げと言ったものの、後でクヨクヨと悩んだ。喜代美が此処に居たら、兄さんの話に聞き入りそうだ。
いろんな人間が集まって同じ道を目指す。その過程で生じる事に、お互いが腹の中で色んな事を考える。
「それがシンドイ。けど、それがオモロイ。違うか?」
草々が頷く「そうですね。」
話を聞いていた熊五郎が突然叫ぶ。
「もろた!」
三人が「え?」と驚く。熊五郎の手にはアコギが握られている。
今の、新曲の歌詞にもろたでぇ~と言い、ギターを弾きながら歌いだす熊五郎。
「それがシンドイ~♪それがオモロイ~♪」
・・・あの、今日から俺が~オマエの寝床~♪と曲が一緒だけど新曲なのか(笑)。少しアレンジされてるのかな?
ちょっとぉ~と、困った様に言う草原と草々。隣で四草が冷静に突っ込む。
「止めてください。耳について離れん様になりますから。」
でも熊はん聞いてない。歌い続ける熊五郎に、咲がうっとりとした目で見とれている。
もう熊五郎さんノリノリだよ(笑)。

和田A家の秀臣と清海は、塗箸イベントの件で悩んでいた。企画したものの参加者がいまひとつ集まっていない。低予算なので地元CATVのタレント位しか呼べないと、竹谷も頭を抱えていたと言う秀臣。
黙って頷きつつ、案内チラシに見入る清海。少し表情が変わった様に見えるけど、何か思いついた?
そして和田B家では、カセットから「ふるさと」のイントロが流れている。小次郎が箸のイベントに五木ひろしが出てくるシチュエーションを得意そうに話す。
ほんまやったら嬉しいけどねぇ~と半信半疑の糸子以外、誰も全く信じていない。可哀想にな、小次郎。
小次郎にギャラが払える訳がない、って思ってるから誰も信じなくて当然だと思うが、宝くじ当たったとか、に微妙な反応を示す小次郎が可愛い(笑)。
小次郎の計画に、誰も本気で相手にしなかったその時、表で声がした。
清海が喜代美を訪ねてきたのだ。自分に用が有ってきた清海に、少々驚き気味の喜代美。清海は、箸のイベントの起爆剤に、ゲストとして「徒然亭若狭」に依頼に来たのだ。
凍っていた二人の関係。でも清海の心は、時間を掛けてゆっくりと溶けている。
人の心に触れ、仕事を通じ、自分の居場所を見つけつつある。だから喜代美に頼みに行ける位、気持ちが和らいだのかな。
「あかんやろか?」と、申し訳なさそうに伺う清海に、嬉しそうに答える喜代美。
「私でええの?私なんかでよかったら・・・」
その言葉に、清海の表情から笑顔がこぼれた。「ありがとう。」
そのありがとうは、本当に心からそう思うから、素直に言えたんだろうな・・・。今の清海は、やさぐれていた清海じゃない。
昔の、エーコらしいエーコ、が戻りつつある。
箸のイベント、上手くいくといいね。

清海が去った後、喜代美はチラシを見つめる。小草若の為に何かしたいと願う喜代美。
自分の出来る事は何なのか・・・喜代美は考える。
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